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AJができるまで

ある一冊の本との出合い

森田汐生

私(代表理事 森田汐生)がアサーティブに出会ったのは、1987年のことでした。当時、自己表現などまるで自信のない学生だった私が、ひょんなことからデンマークに留学することになり、その後ヨーロッパを一人旅していたときに、たまたまイギリスの友人に紹介された本が、『A Woman in Your Own Right』でした。直訳すると「一人の女性が自分の権利をもって立つとき」。イギリスではどの書店でも平積みになっていたこの本を手に取り、帰国の飛行機の中で読み始めたのが、アサーティブとの衝撃的な出会いとなりました。まさに、「目からうろこ」とはこのこと、これまで「試験の答えを出す」ことは得意でも、答えのない問題を自分で考えて自分の考えや感情を人に伝えるなんて100%苦手という私自身の、人間関係のしんどさはここにあったのか!と思うほど、この本は明快だったのです。

(この本はその後邦訳されました。『第四の生き方』つげ書房新社 詳しくはおすすめの本へ)

本は一気に読んだものの、一人で持っているのはもったいない、他の女性たちはどんな風に思っているのだろうと考え、自宅の近くで小さな読書会を始めました。毎週土曜日の午前中に始まる「アサーティブを楽しむ会」は、年齢もバックグラウンドも異なる様々な女性たち8名が集まって、いろんなテーマで喧々諤々の議論や体験談を語りあう場となりました。この集まりは2年間続き、今では私のかけがえのない友人たちとなっています。そのメンバーの一人が、後日この本の監訳者となりました。

イギリスでトレーナーの資格を取得

私自身は思うところあって、大学卒業後の1991年に再度イギリスにわたり、ソーシャルワーカーとして、地域精神医療のグループホームで仕事をすることになりました。そこは同時に、アサーティブを活用する場でもありました。ソーシャルワーカーとして、心の問題を抱えた人たちのサポートをするかたわら、せっかくイギリスにいるのだからと、『A Woman in Your Own Right』の著書であり、当時イギリスのアサーティブの第一人者であるアン・ディクソンが設立した女性トレーナー協会で、アサーティブトレーナーとしての研修を受け、1992年にはトレーナーとしての認定を受けました。翌年には、女性のためのセクシュアリティのトレーナーの資格も取得しました。

帰国は3年後の1994年のこと。帰国後すぐに、株式会社アスク・ヒューマン・ケア代表の今成知美さんに声をかけていただき、ライフスキルの講座としてアサーティブトレーニングを担当することになりました。アスクのスタッフの方々と議論しながら現在のテキストの原型を作り、テキストでおなじみの「ドッカン」「オロロ」「ネッチー」のキャラクターが出来上がったのもこの頃です。

それから数年の間、全国各地でアサーティブを伝える中、少しずつ仲間を募り、最初のアサーティブ・トレーナー養成講座を行いました。第一期の卒業生のひとりが、長年事務局長を務めた中野満知子です。

よりよい社会を目指して

「アサーティブとは、人権思想に基づき、相手も自分も大切にした誠実で率直、対等なコミュニケーションである」。そんな言葉をより多くの人に伝えるために、1998年アサーティブジャパンを立ち上げ、翌年4月には、東京都国立市に事務所を開きました。全国各地で講演や研修を行っている中で、トレーニングをファシリテートできる質の高いトレーナーを育てていかなければと思い、1998年札幌でのトレーナー養成講座を機に新しいプログラムを開発、アサーティブジャパン独自の「アサーティブ・トレーナー養成講座」として、1999年度(東京)、2000年度(東京)、2001年度(大阪)、2003年度(東京)、2006年度(東京)、2008年度(大阪)、2010年度(東京)、2012年度(東京)、2014年度(東京)と、これまで10回にわたってトレーナーの養成講座を開催しています。

「アサーティブ」という言葉が徐々に市民権を得るようになり、アサーティブジャパン事務局のスタッフも今や8名に増えました。事務局を外から支えてくださるトレーナー会員、準トレーナー会員も、北は北海道から南は沖縄まで約80名の方が活動しています。2004年4月には、明確な理念と社会的使命(ミッション)を掲げて社会に貢献する仕事をする市民活動団体となるべく、特定非営利活動法人(NPO法人)へと組織を変えました。アサーティブを通じて、一人ひとりがよりよい人間関係を作れるようになること、ひいては暴力でも戦争でもない、対話に基づいた社会を築いていくことを目指して、スタッフ一同、夢をもって仕事をしていきたいと思います。

これからも末永くおつき合いくださいますよう、どうぞよろしくお願いします。

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