#37
つたわるノート

子育て支援に活かすアサーティブ書き手:森田汐生(アサーティブジャパン 代表)

私たちはNPO法人として、ミッションに沿った活動をしています。その中でも清瀬市にある子育て支援団体『NPO法人ウイズアイ』では、ここ数年にわたって「アサーティブ」を様々なグループ活動の中で活用していただいています。

役員の一人でありアサーティブジャパンの会員でもあるMさんに、「アサーティブって、どんな風にお母さんたちに役に立つの?」と聞いたことがありました。

Mさんはこんな風に答えてくれました。

「子育て支援のグループの多くは、情報の交換や交流の場であることが特徴なのだけど、そこに集まってくるお母さんたちがアサーティブを知っていることで、すごくいい関係ができてくるのよ。

今の若い親の世代って、相手に合せすぎる傾向があるし、言いづらいことがあってもメールで済ませて、きちんと向き合って関係を作ることが苦手な人が多いのよね。でもね、アサーティブを知っていると、『あの人が〇〇だから、自分は言えない』などと、自分が言えないことを誰かのせいにするんじゃなくて、『やっぱり顔を見てきちんと伝えなくちゃね』というように、しっかりしてくるの。

パートナーとの関係も、そう。グループで集まると、どうしても夫の愚痴が多くなってしまうのよね。でも、アサーティブトレーニングをして、小さなことでも言葉にしてきちんと伝えよう、というスタンスとスキルを身につけることで、お母さん同士が愚痴を言うだけじゃなくて、建設的な関係を作れるようになってくるの。困っていることを話したら、『じゃ、なんて言ったらいいかしら?』『だったら、"手伝って"って、頼んでみたら?』と、建設的なアドバイスもできるようになるし。

つまり、お母さんたちが、一人の人間として自律するようになってくるわけ。夫が協力してくれないとか、お義母さんが何かをするからと愚痴を言いながら待つという受け身の姿勢から出るようになる。そして、自分から行動を起こす責任を自分は負っているんだと、背筋を伸ばして積極的に、そして対等に、他人と関われるようになってくる。

それがグループに、ちょっとピリッとした緊張感を与えてくれていて、すごくいいのよね」と。

活動に参加するメンバーがアサーティブを知っていることで、お互いの自立した対等な関係作りが進みやすくなるんですね。気持ちを言えずにため込んだり、遠回しに態度で伝えようとすると、せっかくのよい活動でも中の人間関係がぎくしゃくしてしまう。でも、アサーティブの知識とスキルが、団体内の人間関係のベースとして機能するということが、活動をより建設的に進めていく力になる。

そんな話を聞いて、とても勇気づけられました。

今回ご紹介したNPO法人ウイズアイは、住友生命/第6回「未来を強くする子育てプロジェクト」未来賞を受賞しました。すばらしい活動にいつも本当に頭が下がっています。

これからも様々な子育て支援の場でアサーティブが活用されていくことを、心から願っています。