#7
つたわるノート

要望はひとつ。肯定的にはじめる書き手:アサーティブジャパン「メールマガジン」より

アサーティブであるということは、相手に受け取ってもらえる肯定的なメッセージだけを伝えることではありません。相手には受け取りづらいネガティブなメッセージや否定的な感情でも、相手を人として尊重しながら、「建設的に」伝えらえることです。

とはいえ、この「建設的に」というのは、アサーティブなスキルの中でも最もハードルの高いものです。とりわけ昨今は、ハラスメントになってはいけないというプレッシャーのために、管理職の人たちは、むしろ遠回しになったり言わないまま飲み込んでしまったりで悩んでいるようです。

しかしながら、言うべきことははっきりと相手に伝えなければなりません。あいまいで遠回しな言い方は、こちらの意図が相手に伝わらず、むしろ不愉快な気持ちにさせたり誤解を生んだりするからです。

耳の痛いことを伝える時の原則は、二つです。

肯定から初めて、肯定で終わること。
否定的な要望(相手に変わってほしいこと、これはダメだということ)は、具体的にして、「一つだけ」伝えること、です。

この、「肯定から始める」ということと、「要望は一つだけにする」というのが、実は一番難しい。

感情的になると、どうしても「そもそもあなたは...」という決めつけや「いつも〇〇だ」と否定から始めたくなりますし、一旦口を開くと、あれやこれやを言いたくなってしまうからです。

肯定から始めるということは、決して「最初に持ち上げてから落とす」ことではありません。私たちがそもそも何のために仕事をしているのか、なぜ一つ屋根の下でともに暮らしているのか、お互いの信頼関係を築き、協力して進みたいからこそ、何かを変えていくことが必要になるのですよね。

だからこそ、「あなたのことは、いつも本当に感謝しています」というポジティブなメッセージから始めてみるのです。そうすれば、「相手をやっつけてやりたい」「相手に非を認めさせたい」という心の中のこぶしがふっとゆるんで、攻撃や非難ではない形で会話を始めることができるでしょう。

まずは相手を認める。
相手の人となりを心から尊重する。
そして、自分自身の気持ちや要望を明確にして、自信を持って言葉にする。

これを忘れて話し始めると、メッセージは相手の胸に届きません。相手のことを本当に理解しようとする気持ちがあってこそ、こちらのことも理解してもらうことができるのだということを、どんな時でも忘れないでいたいものです。