2010/4/17 講座から

がんばれ、新入社員

4月は新入社員研修の時期です。寒い4月のある日、新入社員さんたちの研修を丸一日担当させていただきました。

グローバルな視点を持って仕事をするためには、アサーティブネスの考え方とスキルが欠かせません。とりわけ、文化も価値観も違う相手とコミュニケーションをとる時には、自分も相手も尊重したアサーティブな心構えや態度が絶対に必要となります。

「違う」ことを土台としたユーロピアンコミュニティ(EC)やアメリカ社会とは違い、日本では「同じ」という土台からどうしても思考が始まってしまいます。そのため、「言わなくてもわかる」「雰囲気から察する」というアプローチになりがちです。少し前に流行った「KY」という言葉も、そうした土壌があるからこそ生まれたのかもしれません。

「違う」ことを土台とした社会では、「KY」などそもそも存在しません。空気など読めないし、読む必要もない。違うのであればはっきりと言葉で主張し、違いを明確にして問題を解決していかなければならないのです。そこに必要なのは、明快で、簡潔で、対等な主張のスタイル。アサーティブネスは、まさにそれなのです。

外国人の講師の方がアサーティブネスの必要性について、こう話しておられました。

直接的(Direct)であることは、攻撃的・無礼(Aggressive, Rude)なこととは違う。直接的でありアサーティブであることは、明確で簡潔で、そして相手を尊重した丁寧な表現のことである。アメリカ社会では、こちらがアサーティブに振舞うことで相手の敬意を勝ち得る。自分に尊厳を持ち自信を持ち、同時に相手を対等に尊重している態度は、ビジネス社会では基本の姿勢である、と。

異文化間では、言語や文化が違うからこそ、シンプルで明快で具体的な伝え方や、自分に誇りを持った堂々とした態度が必要となります。それは同時に、違う相手の言葉に真摯に耳を傾け理解しようとする姿勢でもあります。アサーティブネスをグローバルレベルに広げてみると、本当の意味での多様性に対する寛容さと対等性が見えてきます。

そんな話を新入社員の方とわいわいしながら、そして彼ら・彼女らが今後進んでいく道や夢の話を聞きながら、10年後、20年後、30年後の社会がますますよいものになりますようにと祈るような気持ちになりました。

ちなみに彼らは今朝(東京で雪が降った朝!)、富士山にゴミ拾いをしに行きました。寒い中、熱いハートをもって。がんばれ、新入社員!