2013/5/23 講座から

自分の本当の望みを言葉にする

アンさんのイベントが4月末に終了し、余韻に浸る暇もなく、すぐに理事会、通常総会でした。18日に総会が終わり、やっと一息ついています。私自身はアンさんの一連の講演会、ワークショップに通訳として同行しましたので、彼女の一言ひとことをかみしめながら参加することができました。

アンさんのアサーティブの理論の深さはもちろんなのですが、やはりワークショップで参加者の方々が前に出て行うロールプレイは、どの事例をとっても圧巻でした。それぞれの人が自分自身の課題に向き合い、自分の内側の声を取り戻して言葉にしていくプロセスは、見ている側にとっても深く心を揺さぶられる体験となりました。

身につまされたのは、アンさんが何度も問いかける質問に対する答えでした。アンさんはロールプレイの行為者に、くり返し同じ質問をしていました。

「あなた自身は何を感じているの?」
「あなたは本当に何を望んでいるのですか?」

この質問に答えることが、本当に、本当に難しいのです。

というのも私たちは、「この場で何を言うべきか」「相手がどう変わるべきか」ということばかりに意識が行ってしまい、自分自身が本当に何を感じ、何を求めているかを深く問うということをしなくなっているからです。

あるべき答え、求められる言葉、望まれる対応を考えて、相手との関係を悪くしないように、相手にイヤな思いをさせないように、自分の言葉を発してしまうクセから、一体どのようにすれば抜け出すことができるのか。それは、アンさんの質問を自分に深く問い直すことからしかないのでしょう。

この質問を受けて、一人ひとりが、心の中の自分の望み、自分の深い願いに向き合おと葛藤します。あるべき答えでも相手を変えることでもなく、自分自身が望んでいる希望や願い。それは時には、自分自身からも隠されていたり、見えなくなっていたり、どこかで捨ててしまったりしているのです。アンさんの問いは、自分自身の「本当の声」に耳を傾け、それを丁寧に言葉にする扉を開いてくれたのでした。

自分の本当の望みを言葉にする、ということは、「あなたに変わってもらいたい」とか「あなたは△△すべきだ」という、攻撃的な主張にはなりません。「私自身がこう感じている」「私はこんなことを願っている」。等身大の自分としての誠実な言葉、相手も同じ人間であるという対等な立場に立った、率直でアサーティブなコミュニケーションになるのです。

6年前にアンさんが来日したときの最初の講演会で、一人の方が質問をしました。
「アンさんにとって、アサーティブとは何ですか」
それに対して、彼女はしばらく考えたのち、
「"自分自身にとって真実である"ということでしょうか」
と答えたのを覚えています。

"自分にとって真実である"とは、自分の中の本当の声に耳を傾けて、それを相手への思いやりを忘れることなく言葉にできるということなのでしょうね。その時には意味を十分理解できなかったのですが、今回まさにそのことなんだなと実感することができました。

まだまだお伝えしたいことがありますので、時間を見てエントリーを書いていきたいと思います。