#26
つたわるノート

立ち去り上手な上司になる書き手:森田汐生(アサーティブジャパン 代表)

アサーティブなコミュニケーションの方法がわかってくると、問題(だと思う)相手に自分の主張をすぐに伝えたくなります。
自分の要望を相手に具体的に伝えれば、相手はすぐに「イエス」と言ってくれるのではないかと期待してしまいます。
 
そこで覚えておいていただきたいのは、アサーティブはその場での相手の結果の「イエス」ではなく、今後の対話の扉を開いておくための「イエス」を引き出すスキルであるということです。
ついやってしまいがちな失敗は、こちらがアサーティブになって結果の「イエス」を言ってもらうために、相手を最後まで追いつめてしまうことです。
 
例えば、自分よりも年上の部下に、仕事の仕方を変えてほしいと伝える場面を考えてみましょう。その部下は経験もプライドもあり、自分のやり方でよいと思っています。しかし上司のあなたとすれば、「そのやり方はもう古いし、部下も困っているから変えてほしい」ということを伝えたいと思っています。
 
そういう時にアサーティブに意見を伝えようとするとどうなるでしょうか。
 
「あなたが○○というやり方を続けているのはわかるが、△△という状況となり私も困っている。なので、今後は××に変えてもらいたい」
 
そう言いさえすれば、相手は「はい、わかりました」と返事をするだろうと思っています。相手から期待する答えが返ってこなければ、「だからお願いすると言っているでしょう」とダメ押しまで行ってしまいます。
 
しかしながら、相手は追いつめられれば追いつめられるほど心の扉を固く閉ざしてしまいます。
あなたが上司として「正論」を伝え、それをその場で飲んでもらおうとすることは、「説得」であって「納得」ではありません。
アサーティブは、相手に「結果のイエス」と言わせる説得術ではなく、相手が自分で納得して答えを出せるプロセスに対する「イエス」だからです。
 
つい相手を追いつめてしまう攻撃型(ドッカンパターン)の上司の方にお勧めしているのが、「立ち去り上手になる」こと。
 
話を始めたのがあなたであれば、終わらせるのもあなた。
伝えるだけ伝えたら、「ということで、ぜひ検討をしておいてください。また来週引き続き話し合いましょう」と、相手との対話の扉を開いて、「さわやかに立ち去る」ということをやってみてください。
相手にも考えてもらう余地を残し、話し合いを続けるという希望をもって、一歩引いてかっこよく立ち去るのです。
 
立ち去り上手な上司になる。アサーティブを使ってそんなことにもチャレンジしてみてくださいね。