2012/12/7 事務局から

希望をもって対話を続けていくことの意義

アン・ディクソン氏の来日が決定しました

3年ぶりの来日となるアン・ディクソンさんですが、実は今年の秋、とても大きなイベントがありました。彼女の著書であり、イギリス国内でミリオンセラーとなった本、『A Woman in Your Own Right』(邦訳『第四の生き方』(つげ書房新社))が、30周年記念にあたって改訂版として出版され、ロンドン市内で出版記念祝賀会が大々的に開かれたのです(この内容については、また別の機会にご紹介をいたします)。

出版当初は170ページ程度だったものが、今回の改定本で280ページになり、豊富な事例と、この30年間のイギリス社会の変化が盛り込まれた充実した内容となりました。

アサーティブの考え方の底には、「対等性」という考え方があります。

私が初めて書籍を手に取って読んだ頃に理解した「対等性」は、時が経つにつれ、私自身の中で徐々に深まり熟成されていったように思います。相手と「対等にコミュニケーションをする」というのは、単に「伝え方を対等にする」「気持ちを対等に保つ」ということではなく、相手を見る「まなざしそのものを対等にする」ことであること。言い換えれば、相手を悪者にしたり、自分が犠牲者になったりすることなく、真に対等な人間同士として向き合おうとする姿勢そのものを言うのだということを、彼女が6年前に来日してから、体と心の中に落とし込んできたように思います。

「相手が100%悪い、自分は被害者である」と思って、話し始めることをしない。相手も一人の対等な人間として見ながら、自分の感情に振り回されることなく、粘り強く話し合っていく。そして、「相手が悪いvs自分は悪くない」という対立項に自分を置くことなく、自分と相手を本当に信頼して、コミュニケーションを通して問題解決をめざし、人間関係を築いていく。

今回も様々なテーマでワークショップを企画しておりますが、私にとって一番大きな課題は、ややもすれば絶望してしまいそうな今の時代に、「自分は無力ではない」ということを思い出すきっかけにしたいということです。将来のことを考えると、「日本はこれからどうなるのだろう」と気持ちが暗くなる時があるのですが、そうではなくて、社会がどんな状況になろうとも、揺らぐことなく、希望をもって、社会に向かって働きかけていくという、心の力をもう一度しっかりと鍛えるきっかけにしたいと考えています。

この一連のイベントを通じて、もう一度、絶望からではなく、希望をもって対話を続けていくことの意義と方法を確認したい。ぜひ皆さんもこのチャンスに、アン・ディクソンさんのアサーティブの考え方に、直接触れていただければと願ってやみません。