2020/1/17 汐生の思い

新しい本を上梓しました

2020年が始まり、やっと新しい本を上梓することができました。何年もあたためてきた数々のストーリーを、編集者の方のお声がけで形にすることができました。

『なぜ、身近な関係ほどこじれやすいのか? ~心に溜まったモヤモヤが晴れてくる!アサーティブの魔法~』(青春出版社 / 発行)というタイトルの書籍です。

 

今回のアサーティブの本がどんな内容なのか、前書きから少しご紹介をさせていただきますね。

本書は、「アサーティブであれば、どうしたらよいでしょうか」というスキル本ではありません。身近な人間関係の中でどのように信頼関係を築いていくのか、というテーマを取り上げています。

自分自身と相手と向き合うときに、アサーティブのマインドを忘れないでいることで、どのようにお互いの関係を変えることができるのか、というストーリーです。

 

以下が、前書きからの抜粋となります。

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身近な関係.jpg確かに、「伝え方」を工夫することで、相手への伝わりかたは変わるでしょう。アサーティブなテクニックを使うことで、「自分の言いたいことは伝わる」ようになります。

でも、「伝わる」ことが、アサーティブの目的ではありません。コミュニケーションを変えていくことで、手に入れたいもの、つまり、相手とのより豊かな関係を築くこと、そして自分自身が幸せに生きることができること。それが、なぜアサーティブに伝えたいかの根本にあります。

家族や友人と長く良好な人間関係を維持するのは、簡単なことではありません。地道な努力が必要です。面倒くさいこともたくさんあります。手っ取り早く幸福感を得る方法は世の中にあふれていますから、面倒な人間関係は「ブロック」すればよい、と考える人もいるでしょう。

しかし、本当にそうなのでしょうか。煩わしい人間関係を排除することで、私たちは幸せになれるのでしょうか。

アメリカのハーバード・メディカル・スクールのロバート・ウォールディンガー教授は、75年にわたる人々の追跡調査から、「私たちを健康に幸福にするのは、良い人間関係に尽きる」と述べています。

彼は次のように言います。

「幸せになった人は、複雑に込み入っている人間関係をうまく維持し、そのために努力をしている人たちでした。面倒くさいかもしれませんが、そのような人間関係を常に自分の周りに形成している人たち、本当に頼りになる人間関係、信頼できる家族や友人、コミュニティを自分の周りに形成している人たちが、人生をもっとも幸せに過ごしてきた人たち、だったのです」と。

「人生を幸せにするのは何?最も長期に渡る幸福の研究から」(リンク先 https://bit.ly/38fKCqW )

複雑で面倒くさい人間関係の中に、私たちを幸せにしてくれるヒントがある、というのは、逆説的でもあります。でも、身近な関係の中で生まれる様々な感情を面倒くさいと避けたり、相手との関係を切る理由にしたりするのではなく、むしろお互いの信頼関係という土台を築いていこうとすることが、最終的には自分自身の幸福につながる、ということに、私はとても感銘を受けました。

SNSのツールを代表とした「伝える」ツールは、この数年で激変してきました。手っ取り早く、瞬間的に、視覚や聴覚に訴えてパッとわかってもらえるためのツールやその可能性は、これからも限りなく広がっていくでしょう。

激変する社会の中で、変わっていくことは数多くあり、その使い方も使い道も、私たちは学んでいく必要があるでしょう。

でも、同時に、変わらないものもある。

複雑で、理解の難しい「人間」という存在と、その人間同士の関係で生じる複雑さや微妙さ、言葉にできない思いや感情が存在し続けることは、きっと変わらないのではないか。人間の複雑な感情と、人間関係の難問を紐解いていくことは、AI(人工知能)であっても難しく、むしろ簡単には解決できない問題ばかりが人間の手に残るのではないでしょうか。そして、その複雑で難しい関係を少しでも良くしていくすべを知っていることで、幸せになる道筋をたどっていくことができるかもしれないのです。

それを確信させてくれたのは、講座に参加してくださった数多くの人たちでした。

アサーティブの講座に参加される方は、時に非常に難しい人間関係の課題を抱えていらっしゃいます。1回や2回、正しく伝えさえすれば問題が解決されるというようなものではなく、正面からじっくり、腰を据えて取り組んでいく必要のある難しい課題です。

くり返し学び、チャレンジし続け、1年、2年、時には数年かけて、懸案だった難しい人間関係に取り組み、お互いがより信頼できる関係を築くことができるようになったというストーリーに、講座の中で数多く出会うことができました。

そうしたストーリーを聞くたびに、私は心が震える感覚を持ちます

その人が、時間をかけ、気持ちを傾け、困難な状況の中でも本当に大切なことを忘れることなく関係を築いてきた道のりが見えるからです。その人たちの生きざまの中に、人間の強さや優しさ、人生の豊かさと希望を、垣間見ることができるからです。

言葉にどう出すかは、結果にすぎません。

大事なのは、言葉に出す「前」の自分のありようです。どう伝えるかの「前」に、自分の気持ちに正直に向き合うこと、相手に何かを言おうとする「前」に、相手のことを心から考えることが、お互いの関係に大きなインパクトを与えるということ。

私が出会った多くの人の話から、それを実感することができました。だからこそ、彼/女たちのストーリーを通じて、アサーティブと共鳴する考え方と伝え方のヒントを紡ぎだしていけたら、というのが、私の願いです。

 

(『なぜ、身近な関係ほどこじれやすいのか?』前書きより抜粋)
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多くの方々のストーリーに支えられ、生き様に触発され、時にもらい泣きをしながら、この本は作られました。ご協力いただいた皆様、本に織り込むことはできませんでしたが、たくさんの話をしてくださった皆様、本当にありがとうございました。

お時間のある時に、お手に取っていただければ幸いです。


2020年1月 森田汐生