2021/3/4 講座の報告

アン・ディクソン氏による「オンライン講演会」レポート

 
イギリスで長年アサーティブを伝えてこられたアン氏のお話を、自宅にいながら(オンラインで)聴くことができるチャンス!ということで、予想を上回るたくさんの方々(123名)にご参加いただきました。
 
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
 

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講演会は二部構成で、前半はアン氏によるレクチャー、そして後半は参加者からいただいた質問にお答えいただく対話形式での質疑応答タイムとなり、「対話が困難な状況におけるアサーティブ」について深めることができた2時間となりました。

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講演は「なぜ私たちは、対話することを難しいと感じてしまうのか」ということから始まりました。
 
・問題があってもそれを口に出すということをしてこなかったから
・この話を持ち出そう持ち出そう…と考えて長い時間がたってしまったから
・その積み重ねで感情をため込んでしまい、感情が強くなりすぎてうまく考えられず、表現方法がわからなくなっているから
 
…どれも思い当たることばかりです。
そんな悪循環から抜け出す一つの方法として、【新しい対話のモデル】であるアサーティブ・コミュニケーションの考え方と具体的方法を、アン氏の長年の経験をもとに丁寧にお話してくださいました。
 
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講演会後半は、アサーティブジャパン代表の森田も交えて、トークと質疑応答の時間をとりました。参加された皆さんからは50件近くのご質問が寄せられ、皆さんの関心の高さと熱意を感じる内容に圧倒されました。
 
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当日取り上げた参加者からのご質問の一部を、下記に抜粋してご紹介します。
 
・自分の感情と向き合うことにとてもエネルギーがいる(本当の感情が深いところにある場合は特に)。しんどくて感情に向き合うことをやめようとする自分を感じる。どう考えたらよいのだろうか
 
・話すことに対する「恐怖」について。断るとき、意見するとき、手に汗をかきドキドキして自分の中で手に負えない怒りや恐怖を感じ、黙るか従ってしまう。相手を対等だと思うことで恐怖が薄れ、解決できるのだろうか
 
・差別的な発言を目の当たりにしたとき、あまりに自分の感情が強すぎて何も言わないことを選んでしまう。自分の強い感情をどのように扱ったらよいのだろうか
 
・アン氏の「アサーティブになれなかった」体験があれば、ききたい
 
・管理職として組織の方針に疑問を感じ、率直に私自身の意見を伝えたら、不当な批判を受けることになった。何も言わなかった同僚は出世してゆくのを見て、悲しくなっている
 
などなど。
どの質問も深く共感できるものばかりで、画面越しに思わず身を乗り出して聴いていました。
 
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いずれの質問にもアン氏からは真摯な回答をいただき、アサーティブであることへの難しさや恐れの前で、つい立ち止まってしまいがちな私たちの背中を、やさしく押してくれたような気がしました。
 
以下は講演会の最後をしめくくった、アン・ディクソン氏からのメッセージです。
 
「大事なのは、自分が自分自身を対等に扱うこと。
あなたには、何かを望む権利があり、要望を伝える権利があるのだということを忘れないように。
たとえ相手があなたを下に見て扱うからといって、あなたまでが「自分が下に扱われること」を信じる必要はない。
チャレンジしてみてください。そして自分を決して責めないように。
がんばって! 応援しています」
 
よし、やっていこう。なんだか、やっていけそうだ。
そんな風に勇気づけられた2時間でした。
 
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▼講演会アンケートより
 
・自分の中で自分を対等に扱う。勇気を出して行動した自分を責めない。胸に刻み込みます!
 
・アン・ディクソンさん,かっこよかったです。励まされました。最後の方は感動して画面越しで泣いていました。
 
・アサーティブになれないときってありますか?という参加者からの質問に、「All the time!(いつだって!)」というアン・ディクソンさんの回答。すっごく勇気をいただきました。アンさん自身が自分自身がアサーティブであることの苦労をリアルに披露してくださったことがとても印象的でした。
 
・相手に「YES」と言わせたいと思うのは、自分が勝ち負けにこだわっていて、それは「対等なやりとりとはいえない」ということに気づかされた。相手にも考える時間とスペースが必要だ、ということもすぐ忘れがちなので大切にしていきたいです。
 
・自分が自分自身をどう扱うかによって、相手との関係性が変わる可能性がある。自分を対等に扱うこと。決して自分を責めないこと。これらの言葉は、現在新しい人間関係での職場と仕事内容の中で陥りがちな私を叱咤激励されたように感じました。
 
・今の状況を変えたい。でもあきらめ、先延ばし、見なかったことにしている自分がいます。今回アンさんのお話と質疑応答のやりとりを聞いて、まずは起きている事実や自分の感情、望みから目をそらさず正直になる必要があると深く思えた時間でした。
 
・自分が感じている怒りは、(たとえまわりから軽く扱われたとしても)、自分にとって大事なこと。というお話が胸に響きました。この視点で考えれば、自分の怒りも、他者の怒りも、恐れなくても良いのではないかと感じられました。
 
・長年の親友との関係が悪化して、悶々とする中、『何も言わない選択』をして半年もたってしまいました。すごく苦しいのにどうしたらいいかわからず自己肯定感も下がったなか、お話をきいて光が見えました。【自分はどうしたいのか】あらためて確認できました。
 
・言いにくさの背景には、社会の中に大きな『力関係のハシゴ』があり、その中で私たちが様々な対等ではない扱いを受け、翻弄され、あがいているからなんだ、ということがよくわかりました。だからそんな自分を恥じることはない、ということも胸に刻みました。
 
・最後の質問への回答で、「たとえ上司が自分を下に見て扱ったとしても、自分自身が自分を下に見ず、自分を対等に扱うこと。決して自分を責めないで、被害者だと思わないで」という言葉に思わず涙がでました。自分を被害者のように思い無力感を味わっていた1週間だったので、胸が熱くなって、ホッとして、そして勇気がわいてきました。