2010/6/8 谷澤久美子

「教育って何?」に口ごもらないで!校長先生。

こんにちは!アサーティブジャパン認定講師の谷澤久美子(くみ)です。
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映画「17歳の肖像」を見てきました。映画の原題は「An Education(ある教育)」
舞台は1961年のロンドン。オックスフォード大学をめざす優秀な女子校生ジェニーは16歳。父親はお金と面子にこだわり、ジェニーに、オックスフォードに進学するか、裕福な男と結婚するかでしか幸せはありえないと、彼なりの「教育」を押し付けるのです。母はそんなパートナーに複雑な想いを持ちながらも表面上は仲良く連れ添っています。そういう女性の生きづらさを「教育」しているのかもしれません。

ある雨の日に、チェロを抱えて濡れそぼっているジェニーに、高級車の中から年上の男性が声をかけます。彼はデイビット。私は「ヤバ!」と思わず声が。そんな男にひっかかったらダメだよと反射的に思いながらも、彼の実にさりげない誘い方に、「あれ?いい人みたい」と思ったのはジェニーや私だけではなく、きっと映画館の観客たちも。だんだん親しくなっていくうちに、今まで学校とチェロのレッスンと家の往復で、たまの友だちとのガールズトークが楽しみだった彼女に、ジャズやダンスや、アルコール、そして映画やコンサート・・・、デイビットは洗練された大人の世界を「教育」するのです。

彼は自分を「『人生大学』の出身だよ、落ちこぼれだけど」なんて説明します。そして、ジェニーに対しては頑なな父や静かを装う母を、寛容で明るい両親にさせてしまう話術を持つディビットは、もはやジェニーにとってはかけがいのない存在になっていくのです。
 
そしてプロポーズされるジェニー。大学か結婚かと迷う彼女。彼女は校長先生に質問します。「教育の意義って何ですか?」
 
私は思わず息を飲んで、校長先生の答を待ちました。校長役は知的な役柄の多いエマ・トンプソン。何かいい事言ってくれるに違いない!

ところが彼女の答は、「大学までの教育をうければ、私のような教育者にもなれるし、公務員にもなれます」
・・・思いっきりガクっという感じです。それじゃあ、「人生大学」の方がよっぽどわくわくするし、楽しいし、役に立ちそうじゃないですか!!!

ジェニーは「その答は用意しておいた方がいいですよ。私のような生徒はまた現れる」と言って、校長室のドアをパタンとしめるのです。

ま、このあと、まだまだいろいろなことがあって、結局彼女は深く傷つく人生勉強をし、享楽主義的な生き方ではなく、観客が望んでいる通りの、そして親子連れで見に行っても親が安心して見せられるような、「人生にショートカットはない」という教訓的なラストになっていくんですが、とにかく私にとっては、その校長先生のシーンで力が抜けてしまって・・・

教育に関わる方はもちろん、大人は子どもの環境のひとつでもあるので、なぜ学ぶのか?教育の意義はどこにあるのか?という問いに対する答を持っていたいと、つくづくと、つくづくと考えたのです。

そして、いざという時に、ちゃんと表現できるように、言いたいことを整理すること
やっておいてみたいですね。