2019/2/15 牛島のり子

ノーと言えなかった頃の自分

こんにちは。アサーティブジャパン専属講師の牛島のり子です。

アサーティブを知るもっと前の、「ノーと言えなかった頃の私」のことを書いてみたいと思います。

 

当時今よりずっと若かった私が、年上の知人からあるイベントに誘われたときのことです。

それはほぼ興味のない内容のイベントで、正直休日を使ってまで行く気になれなかったものの、日ごろお世話になっている方だし印象悪くなるのはいやだな…と思って、お誘いを断ることができませんでした。

(当時の私は友人や家族などの近い関係ではハッキリすぎるほど「ノー!」と言う方でしたが、年上の方やフォーマルな関係においてはシドロモドロになってはっきり言えないのが常でした)

 

当のイベントの日が近づくにつれ、だんだん気が重くなっていた私は、別の知人Aさんに、ついグチをこぼしてしまいました。

 

「実はある方からイベントへのお誘いがあったんだけど…正直内容に興味がなくて気が重いのよね。でもお世話になっている方だし断るなんて悪いじゃないですか…だからどうしても断れなくて…」

 

するとAさん、驚いた顔でこう言いました。

 

「えー、興味がないんでしょ?

断らなかったの???

そういうの、断らないほうが失礼だわよー(笑)」

 

陽気なAさんのキャラもあって、笑い話として軽く言われたのですが、そのとき後頭部をがーん!と殴られたような衝撃を感じたことを覚えています。

 

「断らないほうが失礼」ですって??

「断るほうが失礼」なんじゃなくて??

 

混乱してしばらく目が点のようになっていたと思います。

でもアサーティブを知っている今なら、その言葉の意味がよくわかります。

 

Aさんのその後の言葉にも、ピンとくるものがありました。

 

「ちゃんと断るって大事よー。自分に正直になってノーと言っても、いいと思うのよ」

「アサーティブって知ってる?

自分も相手も大事にしてはっきり意思を伝えるやり方らしいんだけど」

 

その後のやりとりはよく覚えていないのですが、私はとにかく「へぇーーーー」と感心して、そのとき以来ずっと頭の片隅に「アサーティブ」というキーワードが、なんだかよくわからないまま「ピン留め」されました。

 

 

それからしばらくたって、Aさんの友人のそのまた友人という方が、ご自宅で知人を集めてアサーティブトレーニングというものをやるらしいという話を耳にしました。

 

なんでも知り合いのみの集まりでの実験的な試みということで、友人の友人のそのまた友人というかすかなご縁をチャンスにして、私はやっと念願のアサーティブトレーニングに参加することができました。

 

どんなことをやるのかさっぱりわからないままドキドキしながら参加したその小さな講座が、私にとってアサーティブとのはじめての出会いでした。

そのときの講座の進行役:トレーナーが、イギリスから帰国したばかりの森田汐生(現在のアサーティブジャパン代表)でした。実に25年前の話です。

 

まさかその後、自分が仕事としてアサーティブを教える立場になるとはつゆほども思っていませんでしたから、人生ってほんとうに何が起こるかわからないものですね。

 

”「ノー」とは、自分と相手に誠実でありたいからこそ言う言葉”(アサーティブジャパン基礎講座テキストより)。

現在は、自分がそれを伝える立場になりました。

 

25年も前に、「断らないほうが失礼だわよー」と笑ったAさんのひとことが、私をここまで連れてきてくれたのだと思っています。