2009/10/16 中野満知子

彼岸花

P2009_0922_085640.JPGこんにちは。アサーティブジャパン専属講師の中野満知子(まちこちゃん)です。

 彼岸花が玄関横に置いてある自転車の前輪から花を咲かせた。良くここがドローボーさんの通り道になっていたので、防犯の意味で通路をふさぐ役目として置きっぱなしにしている自転車である。朝顔のつるが伸びてゆくときみたいに、スポークの交差した線をうまく縫いながら、ぐんぐん大きくなっていった。

 家を建て替えてから二十数年が経つが、その前から義母が塀周りに植えていたもので、年を追うごとに増え続け、最近では実に見事な花を咲かせていた。それが、花が終わって葉が茂りだしたある日帰宅すると、あまりに茂ったその葉が邪魔だったのか、雑草と間違えたのか、誰かにすべて刈られてしまっていた。今年のお彼岸には、もう咲かないかも、と諦めていたので、こうしてたくましく咲いたことがうれしかった。

 時々この花を気持ち悪いといって嫌う人がいる。シビト(死人)バナと呼ぶ地方もあるそうだ。根には毒があり、モグラやネズミが墓を荒らさないように、特に墓地に多く植えられていることに由来するという。

 お彼岸のころに咲くから彼岸花。別名は「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」。サンスクリット語で、天界に咲く花という意味だそうである。慶びごとの前に、真っ赤な花びらが天上から落ちてくるという経典によるらしい。花言葉は「悲しい思い出」「再会」「再生」。

 亡くなったことは悲しい思い出だが、やがて天界へはこれから自分も行くところであり、そこで再会できるであろうこと、そうして人は新しい命を再生し再びこの世に誕生する。
それは慶びごととして、天に咲くその真紅の花びらの祝福を受ける。

器用に咲いた彼岸花を見ていると、まるで亡くなった義母が、それこそ天界から私にメッセージを送ってくれているような気がしてくる。