2015/3/19 寺地典子

責める心は相手に伝わる

こんにちは。アサーティブジャパン認定講師の寺地典子です。

アサーティブジャパンが大切にしている考え方の一つに「Diversity and Equality(多様な価値観の人と対等な関係を築けること)」があります。たとえ意見や価値観が違っても、諦めることなく自分の考えをきちんと伝え、相手の話にも耳を傾けて問題解決に向かってコミュニケーションをとっていくことを目指しています。
しかし相手や価値観がと意見が違うときほど、私たちはつい相手を責めたり自分を責めたりしがちで、そこを乗り越えて対等に向き合うことは本当に難しいことだと実感しています。

私がアサーティブを学び始めた当初、どちらかと言うと意見を言えないタイプだった私はアサーティブの伝え方(スキル)を身につけることによって少しずつ自分の思いを伝えられるようになってきました。
それまで言えずにため込むことが多かったので「スキルを使えば意見を言える!」と感動したのを今でも覚えています。

しかし、しばらくすると「伝えることによる弊害」が起きだしました。
相手がだんだんと自分の意見を言わなくなっていったのです。

「あなたはどう思う?」と聞いても「ごめん」としか返事が返ってこず、「私に改善できる所があれば教えて」と言っても「特にない」と言われ、問題解決どころか泥沼にはまっていきました。

私が伝えれば伝えるほど、相手は心を閉ざしていったのです。

自分では言葉を選んで優しく話しているし、相手の話を聞こうとしているつもりでした。しかし、心の中では「私がこんなにアサーティブに話しているのに、どうしてあなたは何も言ってくれないの?そもそもあなたが××だから...」と相手を責めて立てていたのです。
口先だけで「あなたの話を聞くよ」「教えて」と言ってはいても、心の中では相手のことを攻撃していたそのまなざしが相手に伝わって、結局相手は心を閉ざしていったのだと思います。

そのことがあってから、言葉だけではなく心の中でも相手を責めずに向き合うことを心がけるようになりました。しかしそれはなかなか難しいことで、今でも内心感情的になって相手を責めてしまうことがあります。
でもそんな時には、気づいた時点で「ごめんなさい。言い過ぎました」と率直に謝ったり、日頃から挨拶や雑談もコミュニケーションとして大切にするなど、ここぞという時にきちんと話ができる関係を日頃から築くようにもなりました。

たとえ相手の意見や価値観が自分とは違っても、そのことで相手を攻撃しないと心に決めること。難しいけれどアサーティブであり続ける大切な第一歩かな、と感じています。