2021/6/15 牛島のり子

「かわいそう」という言葉に向き合う

こんにちは。アサーティブジャパンの牛島です。

長年アサーティブトレーニングの講師として様々な講座を担当していますが、その中でも人気の高いテーマとして、応用講座の中の「批判への対処」があげられます。

 

ご参加の皆さん、ほとんどの方が「これを学びたい!」「これ、できるようになりたい!」とおっしゃいます。

それほどまでに、批判というものは私たちを混乱させ、アサーティブな対処がむずかしいものです。

 

私もアサーティブを知る前は、批判や注意、ネガティブな指摘を受けることが大の苦手でした(今でもあまり得意な方ではありません)。

特にむずかしいと感じるのが、遠回しな批判です。

その代表格で対処がむずかしいのが、「かわいそう」という言葉ではないかと思います。

 

「お母さんが働いていると、子どもは寂しいわね。かわいそうにねぇ」

「障害があってかわいそう。大変でしょ」

「肌荒れがひどいね。お化粧できなくてかわいそう」

 

言っている本人は、たぶん批判する意図はないのだと思います。

同情、なぐさめ、共感、といった感じでしょうか。

でもこれらの言葉は(相手との関係性にもよりますが)、高い確率で、遠回しな批判として伝わることが多いものです。

 

「かわいそう」と言われると、表面上は笑顔でさらりと流しながらも、心の中ではこんな言葉がぐるぐる渦巻いていたり…

(かわいそう?その言葉、あたっているようでちょっとちがう。

こんな言葉にカチンとくるなんて、私おかしいよね。相手は同情してくれているだけだし。

でもなんだろう、この違和感…)

 

「かわいそう」という言葉は、一見思いやりに満ちた言葉とも受け取れるけど、見下された言葉のようでもあり、言われた側は対応に困ることが多々あります。

実際に以前の私がそうでした。

 

でも、アサーティブの応用講座で批判の対処に何度も取り組んできて、今は以前より自信をもって対応できるようになってきました。

 

対応のポイントは、言われた言葉に心底「イエス」と言えるのか(同意できるか)、を正直に自分に問いかけてみること。

 

この「正直に自分にきいてみる」ということ、やさしそうで実はむずかしい!

でもアサーティブは、やはりここがスタートなのです。

 

そのやり方を採用すると、返答はいたってシンプルになります。

 

「お母さんが働いていると、子どもさんは寂しいわね。かわいそうにねぇ」

と言われたら、

「そう思う? たしかに寂しいこともあると思うけど、私はかわいそうとは思わないけどな」

こんなふうに言えるかもしれない。

 

もしくは

「うーん、そうなのかもしれないけど、でも、正直かわいそうって言われるのは好きじゃないなぁ」

など。

正直に、シンプルに。

 

「いやいやそんな、言われた瞬間はすご傷ついて腹が立って涙が出そうでうまく言えない!」という人も多いと思います。それでいいと思います。

 

その場でスマートに言い返せなくても、心の中で

「私はそうは思わないな」

「私はその言葉には、正直同意できないあ」

とはっきり言葉にすることで、自分への尊厳を保てるような気がします。

 

 

以前、講座の中である受講生の方が弟さんの障害について知り合いの方から「かわいそう」と言われた言葉に対してアサーティブに対応する練習をされていました。

 

「たしかに障害があるのは大変だけど、かわいそうじゃないよ。

弟のこと、誇りに思っているから」

 

相手の顔をまっすぐ見て、凛とした態度で、やさしく、でもきっぱりと対応する姿に心から拍手を送りました。

 

批判やネガティブな言葉に対応するとは、「自分を卑下せず、相手を責めない」自己信頼感を築く練習でもあるんだなあ、と毎回感動します。

応用講座でその体験してみませんか?

皆さんのご参加を心からお待ちしています!

 

▼オンライン講座はこちらからどうぞ

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(※文中の講座の中でのエピソードは、受講生の方の了承を得たうえで掲載いたしました)