②「個人主義だった私が、相手を尊重し、チームの大切さに気づくまで」

②「個人主義だった私が、相手を尊重し、チームの大切さに気づくまで」

自分の頑張りと成果を、一緒に働く相手にもつい強要してしまい、それに応えられない相手に強く当たってしまう…。仕事に一生懸命な方ほど、こういったケースに陥る場合があるのではないでしょうか。職業教育など人材育成の研究・支援に従事するIさん(40代男性)は、そうした経験と反省からチーム全体に目を向け、コミュニケーションの改善に取り組もうとしました。

みんなの受講データ

  • 初回受講時期:2016年10月
  • これまで受講した講座
    基礎・応用集中講座、ステップアップ講座、アドバンス講座

チームで「感情」を扱うことの難しさ

元々、20代から30代前半まで集団行動が苦手でした。体育会系でしたが、個人演技を選んできました。自由にやりたいタイプで、集団で生きるなんて自分は嫌だ、という自己概念がありました。

しかし、一人でプレーして成果をあげても満たされない自分がいることにある時に気づきました。嬉しくないんです。「何かをやること」で満たされるわけではないという気づきもありました。


また、チームリーダーとして過去に挫折経験がありました。リーダーを任されていた時、誰よりも働き、メンバーに「お前らももっと働けよ」という態度をとっていた結果、メンバーの心が離れ、私もリーダーの立場から外されました。それがきっかけで、「リーダーとしてどうあるべきだったのか」と、自分だけではなくグループ全体に目を向けるようになりました。


課題として感じていたのは、感情を扱うことの難しさ。そもそもビジネスでは感情を扱うトレーニングがなく、逆に感情に目をむけないようにというトレーニングをする。しかし感情を取り扱うことこそがチームの関係を良くすると思っていました。思考は伝えられるが、それをどんな気持ちで言っているのか、悲しみ喜びなのか、その感情を扱いたいと思っていました。そうすればいい仕事がチームでできるはずだという直感があったんです。

自分が大事にしている感覚に、もっと踏み込みたい

仕事で学校教育に携わっていますが、先生は生徒に議論しなさいというシーンが多々あります。それについて、そもそも議論の仕方を教えていないということに疑問を持っていました。そこで、学校への提案材料としてホワイトボードミーティングは使えるのではないかと思い参加した、とあるホワイトボードミーティング講座で、同じく受講者として参加していたAJのトレーナーと知り合ったんです。これがきっかけとなりアサーティブについて知りました。


その方からAJの無料の体験講座についても伺い、ぜひ「うちの会社でやってほしい」とお願いしました。体験講座は、衝撃的なインパクトがあったわけではなかったけれど、アサーティブの4つの柱の説明が、自分の大事にしてるものにフィットする感覚がありました。

誠実、率直、自分も他者も尊重するという価値観にふれることで、自分はまだ日常で大切に扱っていないと気づき、きちんと向き合ってみようと基礎と応用をまとめて受けられる集中講座に申し込みました。もっと知りたい、もっと踏み込まないと、という思いがあったんです。

本気で取り組むからこそ、気づきが生まれる

初めて受けた講座では、トレーナーの姿がすごく印象的でした。これまでセミナーをたくさん受けてきましたが、AJのトレーナーはエネルギーがとにかくすごい。全身全霊をこの場で注いでる。ファシリテーションのテクニックが上手いだけだと何も感じませんが、AJのトレーナーからは本当にアサーティブを大事にして伝えたいんだという気持ちを感じました。


AJのトレーナーは、ゆるくない、とぎれない、適当にやっていない。とりあえず受講者に合わせるということをしないんです。言葉の選び方やロールプレイの進行において、高度にトレーニングされていると感じました。何よりも、トレーナーが真剣に受講者に関わるので、受講者も真剣に返すんです。アサーティブの4つの柱に真剣に向き合っているので、こちらも向き合わざるをえない。真剣にいかなきゃ、と思いました。


集中講座の4日間は、本当にエネルギーを使ってしんどかったですね。20名ほどの規模で時間をかけて学べる場は実はあまりありません。密度が濃く、取り扱うのがセンシティブな内容だからか、トレーナーと参加者の距離感も縮まります。本気で取り組むので気づきや学びにつながりやすいと感じました。

「相手を尊重する」という発見で
メンバーへの接し方が変わった

良かったのは、ロールプレイを通して、みんなと課題をシェアできたことです。アサーティブをできるようになる・ならないよりも、みんなそれぞれ困って大変な思いをしながら生きているんだな、と感じることができました。

他の受講者のロールプレイの課題を聞くと、前頭葉では「それってどうなの?」と思うこともありました。「仕事にそこまで感情を持ち込むの?」とか「はっきりと言わないあなたも悪いよね」とか。でも、震えながら、緊張する中で気持ちを言葉にしようとしている人の姿を見て、心のありようが見えてくるような気がしました。その人なりに一生懸命生きている、比較の問題じゃない、その人の取り組みを尊重しようという気持ちが芽生えました。それは大きな発見でした。持ち帰ろう、と。


講座の最終日、4日目に自分も泣いてしまったんです。普段はうまく接せられない、まどろっこしい部下に対して、もっとやってくれと思ってしまっていたんですが、そういう思いが自分のなかにあることに対して嫌でした。大切に扱いたいのに扱えない。ジレンマに苦しむ自分がロールプレイを通じて明らかになりました。日常で気づききれない自分のクセや思考パターンなどを、改めて客観視できたと思います。


受講後は、チームメンバーへの接し方も変わりました。みんな全力なんだな、がんばってるな、と思うようになったんです。誠実に人と関わること。それをよく思い出すようにしています。だから、自分の怒りの感情などを無理に抑えつけてコントロールしようとしていません。嫌だなと思った時はその感情を伝えますし、相手の考えや思いも聞くようにしています。


講座を受けたことで、日常に戻った後も自分の視点が変わり、習ったことが活きているという実感があったので、ぜひアドバンス講座まで受けたいと思いました。ただ、集中講座の4日間に充足感があったのと、体力と精神を使い切っていたので、半年後に受講することにしました。


みんなが働きやすい風土づくりに向けて

ステップアップ、アドバンス講座の両方を受けて、明らかに自分自身が変わりました。特に相手を「尊重する」ということについて。それまでは、「尊重することは大事」という言葉はよく聞くけれど、実感として、何をもって大事なのか、自分の中ではっきりとせず、掴みきれてないことに後ろめたさもありました。

アドバンス講座の冒頭で、アサーティブトレーニングをすると言いたいことを言えるようになって人を傷つけてしまうことも起こりやすい、だが、「相手も自己も尊重」する、アドバンス講座ではそこを見つめていく、と言われてその通り!と深く共感できて講座にのめり込めました。


講座では、これまでの学びを復習しながらロールプレイを繰り返しました。自分のあり方を見つめながら、嫌な奴を追い込むためではなく「尊重するとはどういうことか」とずっと自分に問いながら受けていくことができました。結局、相手も一生懸命生きている。お互い同じ、対等なんだなと気づけてすっきりし、モヤモヤがとれた瞬間、この状態が「人を尊重するという感触なんだ」と実感できてとても嬉しかった。一回その感覚を感じると、日常でもそこに立ち戻ることができると思うので。


結果、肯定的に相手に関わることができるようになりました。自分たちは体育会系で、相手ができていないことを指摘し、どう伸ばすかというトレーニングを若い頃からしています。例えば、相手の成長を願ったときに、あえて否定する、というのもひとつの手法としてあります。そうではなく、相手に肯定的に関わる。今は怒ることはほとんどないですね。そんな関わり方をしなくなりました。


最近、社内でリーダーシップ研修があり、360度フィードバックというアンケートをとったんです。自分がどういうリーダーシップをとっているのか、組織風土にどう影響しているかを調べたのですが、自分の結果は明らかに他のリーダーと違っていました。

他のリーダーは「指示命令型」、「率先して行動する」タイプが多かったのです。自分も昔そうでした。しかし、今の自分は「指示命令」「率先」の値が低く、「民主的」「関係重視」「ビジョンを掲げる」などの値が高かった。この三つの値は組織の民主的風土、メンバーが働きやすい風土の基になります。AJの講座を含めて、自分を変えてきたことがつながってきたのかな、ということが客観的に分かり、嬉しかったですね。


ストーリー③「自分に負い目を感じず伝えられるように」を読む